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奈良筆
奈良筆の歴史
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奈良筆

獣毛を使って現在の様な筆を初めて作ったのは中国秦の時代(紀元前221~207)の武将・蒙恬(もうてん)という人で、この人が兎毫、竹管の筆を作り始皇帝に献上したのが筆の始まりと伝えたれています。


日本には6世紀頃に伝来し、飛鳥・奈良時代、竹筒や木簡に使用された筆。また写経に使用した短鋒の筆(雀頭筆・天平筆と呼ばれている類のもの)は、7世紀頃に飛鳥地方で作り始められていた様で、奈良時代には製筆の技術も進歩して用途に応じた筆も作られていたと思われます。


9世紀になって空海(弘法大師)が中国から長鋒の筆の製法を修得して帰国し大和の今井(現・橿原市)の筆匠・坂名井清川にその技法を伝授して作らせた筆を嵯峨天皇に献上したことは有名です。

 

また筆の原毛については中国から渡来していた筆は兎毛のみでしたが、それでは腰が弱いので之を強くする為に主要材料として鹿の毛を使用してきました。

その書き味の良さから、奈良春日野に鹿を放牧して造筆の材料としたことが現在まで続いており、奈良公園の鹿はその子孫であるといわれています。


奈良は日本の筆の発祥の地であり、奈良筆は日本の筆のルーツとして毛筆製造の中心地となり栄えてきました。

特徴
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奈良筆の特徴

奈良筆伝統の技法、「練り混ぜ法」は原毛を個別に水にひたして固め、その筆の特徴によって配分と寸法を決めて入念に混ぜ合わせるため、穂先の仕上がりに絶妙の味をもった筆が生まれます。

奈良筆作りは、昭和52年、通商産業大臣より「伝統的工芸」の指定を受けています。

原料

奈良筆

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筆の原料

①鹿冬毛 ②黒鹿毛 ③羊毛 ④馬胴毛赤 ⑤馬尾毛 ⑥イタチ尾 ⑦ムササビ尾 ⑧リス尾 ⑨テン尾 ⑩狸
筆作りには柔剛程よく、墨含みの良い獣毛10数種より選びますが、その動物の種類や採取の時期、体毛の部位などによって微妙に仕上がりに影響があります。
千差万別の毛質を弾力・強弱・長短などを巧妙に組み合わせて作る製筆技術は、長年にわたる筆匠達の経験と研究努力から生まれるもので、それに伝統の一術があいまって作り続けられているのが奈良筆の筆作りです。

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